自閉症(ASD)のある子どもに合った習い事とは?

発達障害
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子どもの習い事、どうやって選べばいい?

親にとって、子供の習い事を選ぶことは悩ましいことです。しかし、子どもが熱中できる趣味や習い事を見つけることは、生涯にわたって素晴らしい宝物となるでしょう。

子どもの得意なことや好みは一人ひとり異なります。だからこそ、子供の様子をよく観察しながら考え、個性や興味に合わせて選ぶことが大切です。

この記事では一般的な自閉症の特徴を踏まえて、おすすめの習い事をご紹介します。習い事選びのご参考にしていただけると幸いです。

①スイミングスクール

スイミングは、水中での運動は、楽しく筋力や体力を身に付けるのにぴったりです。環境や指導方法も自閉症の子供に合っている点がいくつかあります。

予測可能な環境

自閉症のある子ども達は、「いつまで」「なにを」するのかが分からないと不安を感じます。プールは、比較的予測可能で安全な環境です。

教室内のルールに基づいた活動となっており、決まったことを一つずつこなしていく仕組みになっています。自閉症の子ども達にとっても安心して取り組むことができるでしょう。自閉症の子どもたちは見通しを立てることで安心感を得られる場合が多いため、適した環境と言えるでしょう。

また、水の抵抗が子供たちに安心感を与え、リラックス効果も期待できます。自閉症特有の感覚過敏の症状を軽減できるとも言われています。

運動能力の向上とリラックス効果

ある研究では、3人の自閉症のある子どもに対し12週間の水中トレーニングを行いました。すると、運動能力のスコアが上がったという結果があがりました。また、動画を使った指導が効果的という結果も出ています。指導方法の工夫次第では、より子供の成長に繋げられることでしょう。

身体を動かすことが得意なお子様にはぴったりの習い事かもしれません。

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②絵画教室

絵画教室は、コミュニケーションや表現の課題に対して良い影響が受けられる可能性があります。子どもたちが自分の世界を色と筆で表現することは、子どもの感性をより理解するきっかけにも繋がりますし、夢中になれる趣味の一つとなるかもしれません。

表現の手段

絵画は言葉ではなかなか表現できない思いや感情を描き出す素晴らしい手段です。自閉症の子供たちにとって、絵を通じて自分の気持ちやアイデアを伝えることができ、コミュニケーションをサポートするものになるでしょう。

また、自閉症の特徴の一つとして、こだわりの強さや繊細さがあります。この特性が芸術の分野で非常に優れた能力を発揮する可能性があります。

絵画を用いた研究結果

20人自閉症のある子供たちに対し、絵画を通じて感情表現やコミュニケーションをとる方法を試しました。その結果、子ども達の社会的な関わりや特定の行動に改善が見られたという結果が出ています。

子どもの生活の中で、絵を描くときに夢中になっていたり、手を動かす作業が得意だと感じた場合は、絵画教室を覗いてみるのも良いかもしれません。

Kaveh Moghaddam, Aida Ravarian, Farhoud Saied Ershadi. (2019). Painting Therapy in Improvement of the Symptoms of Children with Autism Spectrum Disorder. Psychology and Behavioral Sciences, 8(3), 79-84. https://doi.org/10.11648/j.pbs.20190803.14

③ピアノ教室

ピアノ教室は、教室の雰囲気やレッスンの流れが予測しやすいため、自閉症のある子どもに適していると言えます。授業は基本的に決まった流れで進むため、驚きやストレスを極力減らすことができる習い事の一つです。

規則的な構成

また、ピアノの教科書や楽譜、キーボードを見ながら学ぶため、視覚情報や触覚で覚えることが得意な子どもにはぴったりです。

音楽はパターンや構造を持っています。ピアノ演奏はリズムやメロディ、和音などの規則的なパターンで構成されており、これらのパターンを理解することは自閉症のある子どもたちにとって楽しんで学習できる要素となります。

音楽療法の研究結果

ある研究では、自閉症を持つ6人の子どもを対象に音楽療法を行いました。主に、ダンスやリズムを用いたゲーム、グループで歌うといった内容です。研究者は、音楽療法が自閉症児の社交的スキルや言語スキル向上に役立つかどうかを調査しました。

調査結果は、自閉症のある子どものコミュニケーション能力が向上したことを示しました。また、音楽トレーニングは、他人が話すことや書いたことを理解する言語能力だけでなく、自分の考えや気持ちを伝える言語能力にも効果があることが示されています。

ピアノ教室の中には、上記の研究のようなダンスやリズム遊び、歌などを用いた、「リトミック」というカリキュラムを取り入れているところもあります。そのような教室で体験レッスンを受けてみるのもよいかもしれません。

Gu, X. (2020). The benefits of music for children with autism. Journal of Learning and Education, 9(3), 109-112. doi: 10.18282/l-e.v9i3.1591https://ojs.piscomed.com/index.php/L-E/article/view/1591

その他、自閉症のあるお子様へ向けた学習塾についてはこちら⬇️

さいごに

いかがでしたでしょうか。以上が、自閉症の特徴を踏まえたおすすめの習いごとです。他にも、習いとごの種類は本当にたくさんあります。この記事をヒントにして、お子様の夢中になれるものや興味の持てるものが見つかると幸いです。

習いごとは、新たな発見や人との出会いなど、様々な可能性を秘めていると思います。また、学校と違い、その子に合ったもの、好きなものにとことん時間をかけることができます。

一人ひとりに合った習いごとを見つけることが、子供たちの可能性を最大限に引き出す手助けとなるかもしれません。手始めに体験や見学など、教室を覗いてみるのも良いかもしれませんね。

▼経歴
音楽大学ピアノ科卒業。音楽教育やリトミックについても専修し知見を深める。
▼資格
中学校教諭 高等学校教諭一種
▼趣味
ストリートピアノでの演奏 音楽鑑賞