はじめに
習い事は、子どもにとっての大きな成長のきっかけを与えてくれるものです。
たくさんの習い事がある中、「うちの子にはどんな習い事が合っているんだろう…?」と迷うこともあるでしょう。
この記事ではダウン症の特徴を踏まえて、おすすめの習い事をご紹介します。習いごと選びのご参考にしていただけると幸いです。
子どもの得意なことや好みは一人ひとり異なります。子どもの様子をよく観察しながら考え、性格や興味に合わせて選ぶことを大切にしていただければと思います。
①ダンス教室

ダウン症のある子どもたちは、一般的に人の動きを真似るのが得意です。子ども向け番組の動きを真似して遊ぶお子さまも多いのではないでしょうか。
ダンスは楽しみながら身体を動かすことで運動能力を向上させることができます。また、言葉によるコミュニケーションが難しい場合でも感情や意思を表現できる手段となり、自己表現やコミュニケーション能力を向上させます。
ダンスは、心の中の喜びやワクワク感を体の動きに乗せて表現できる素晴らしい活動です。音楽に合わせてリズミカルに体を動かすことは、自然とポジティブな気持ちを引き出してくれます。「自分にもできる!」という自信がぐんぐん育っていくでしょう。
自己肯定感が高まれば、他のことにも積極的にチャレンジできるようになりますね。ダンスは体を動かす良い運動にもなりますし、表現力も養えて一石二鳥。子どもの成長を多方面から後押ししてくれる、願ってもないほどの習い事なのではないでしょうか。
ダンスを継続することの効果・研究結果
ダンスの効果を実際に調べた研究結果をご紹介します。ダウン症のあるの方々を対象に、4年間にわたってダンスレッスンと発表会を週2回行ったところ、確かな変化が現れたそうです。
1,生活の質の向上
一つ目は、生活の質が総合的に上がったことです。特に感情の豊かさ、身体の健康、社会性の広がり、活力の向上、メンタルヘルスの改善など、さまざまな面で生活がより良いものになったようです。
2,鬱症状の緩和
ダンスに打ち込むことで、うつ病や不安症状が少しずつ緩和されていったとの結果が見られています。
3,自信と身体への満足度の向上
自分への自信と体への満足度が高まったとの結果が見られました。ダンスを続けていく中で自立心が芽生え、自分らしく表現する力が養われたようです。
この研究結果が示すように、ダンスを続けることは心身ともに良い効果をもたらすポジティブな活動なです。お子さまにダンスを習わせてみるのも、充実した毎日を送るための一つの方法かもしれませんね。
Santana, T., Adorno, E., & Teixeira-Machado, L. (2018). DANCE AND QUALITY OF LIFE PROMOTION IN DOWN SYNDROME: A VIEW ON DEPRESSIVE AD SELF-ESTEEM ASPECTS. International Journal of Research -GRANTHAALAYAH. https://doi.org/10.29121/granthaalayah.v6.i5.2018.1419.
②絵画教室

日々の遊びの中で、「うちの子は絵を描いているときは夢中になっているな」と感じる方もいるのではないでしょうか。そのようなお子様には一度絵画教室の体験へ通ってみるのも良いかもしれません。
絵を描くということは非常に豊かな表現手段であり、色や形を通じて感情や自身を表現することができます。絵画教室では、ダウン症の子どもたちが自分の想像力や感情を豊かに表現する機会が広がることでしょう。
その他にも、絵画教室へ通うことで次のようなメリットが期待できます。
手や指の運動能力の向上
絵画は手や指を使って具体的な作品を作り出すため、手の動作や細かい運動能力を向上させることが期待できます。これは日常生活においてもかなり実用的なスキルとなることでしょう。
集中力と注意力の向上
絵画は繊細な作業を伴いますが、それによって子どもたちの集中力や注意力が向上します。絵画教室では、長時間かけて取り組むことで、持続的な集中が育まれます。
自己肯定感の向上
絵画を通じて作品を創り上げる過程で成功体験を得ることができるため、自己肯定感を高める手助けとなります。完成した作品を認められることで、自信を持つことができます。
作品が完成した際には、「素敵な絵だね!」と言葉をかけ、絵を通じてコミュニケーションを取ってみるのも良いかもしれませんね。
③ピアノ教室

ピアノ教室は一般的に個別指導や少人数制となっています。教師が生徒一人ひとりの進捗やニーズを的確に把握し、適切なサポートを提供することができるため、ダウン症の子供が個々のペースに合わせて学ぶのに適しています。
また、ピアノ演奏は感情を表現する手段でもあります。音楽を通じて自分を表現したり、成果や進歩を感じることで、子どもたちの自己肯定感を育むことが期待できます。
音楽活動に関する研究
スペインのアルメリア大学の教育研究チームが、ダウン症候群の方々の感情の発達支援を目的として、音楽を活用した興味深い研究を行いました。
20歳から45歳のダウン症候群の参加者8名を対象に、計8回の音楽活動プログラムが行われました。プログラムでは、歌を聴いたり声を出したり楽器を演奏したりする様々な音楽活動が展開されました。
また、喜び、怒り、悲しみなど基本的な感情ごとに、ストーリーと歌が用意されていました。参加者は音楽に触れながら、感情を体感していきました。
感情の表現力や理解度が向上
結果として、音楽を取り入れた活動が、ダウン症の学生たちの感情への理解や感情表現の力を高め、総合的に感情の発達を後押ししたことが分かりました。
最初は「感情」という曖昧なものの認識が難しかった参加者も、活動を重ねるごとに感情をより適切に理解できるようになっていきました。結果として、音楽を取り入れたアプローチがダウン症の学生の感情の発達を促進する有効な手段であることが実証されました。
音楽の力は感情の分野でも発揮できることが示された今回の取り組みは、ダウン症に限らず感情育成の新しい可能性を切り開くことになるでしょう。
Castellary-López, M., Muñoz, J., Figueredo-Canosa, V., & Ortiz-Jiménez, L. (2021). Implementation of an Intervention Plan for Emotional Development in People with Down Syndrome. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18. https://doi.org/10.3390/ijerph18094763.
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さいごに
いかがでしたでしょうか。習い事を通して、子どもに幅広い体験ができる良いきっかけとなるでしょう。
そして、子どもたちの個性や可能性を伸ばし、感情や身体能力の発達を促進することができると考えています。子どもの様子を見ながら、興味関心に合った習い事を見つけていきましょう。子どもたちが「楽しい!」「嬉しい!」と感じるきっかけが増えることを願っています。
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