自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもにピアノレッスンが与える影響とは?

発達障害
この記事は約4分で読めます。

はじめに

自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもは、コミュニケーションや感情表現などの面で困難を抱えることがあります。そのため、保護者の方は、子供の成長のためにさまざまな療育や支援を検討されていると思います。

その中で、ピアノレッスンも効果的な選択肢のひとつです。

ピアノレッスンには、多くの良い影響をもたらすことが研究によって示されています。

今回は、自閉スペクトラム症(ASD)の子ども達に音楽がもたらす驚くべき効果や、自閉症の特徴に焦点を当てながら、なぜピアノレッスンが有益なのかをご紹介します。

ピアノレッスンをおすすめする理由

自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもに適した環境

ピアノ教室は、教室の雰囲気やレッスンの流れが予測しやすいため、自閉スペクトラム症の子どもに適していると言えます。授業は基本的に決まった流れで進むため、驚きやストレスを極力減らすことができます。

そして、ピアノの教科書や楽譜、鍵盤などを「見て」学びます。視覚情報や触覚で覚えることが得意な子どもにはぴったりです。

音楽の規則的な構造

楽譜やリズムにはパターンがあり、これが子どもたちにとって安心感を生むことがあります。自閉症の子供たちは見通しがきく環境を好む傾向があるため、ピアノ演奏は自閉症の子ども達にとって楽しんで学習できる要素となるでしょう。

音楽のパターン構造でできており、子ども達にとって安心感を生むことがあります。例えば楽譜やリズム、和音などは規則的な構造となっています。自閉症の子ども達は予測可能な環境を好む傾向があるため、このようなパターンを学ぶことは楽しんで学習できる要素となるでしょう。

指の動かし方や音楽に集中することが必要なため、ピアノを弾くことで集中力や感覚を鍛えることができます。

感情表現の機会

ピアノは、さまざまな感情を表現できる楽器です。そのため、ピアノを弾くことで、子供は感情表現の豊かさを身につけることができます。

また、ピアノのレッスンでは、先生から音楽の知識や表現方法を学ぶことができます。これは、子供の感受性や創造性の向上にもつながります。ピアノを通して子供たちは自分自身を表現し、自己肯定感を高めることができます。このプロセスは、自閉症の子供たちが自分自身を理解し、他者とのつながりを築くのに役立ちます。

ピアノが子どもにもたらす影響

音楽療法の研究

ある研究では、自閉症を持つ6人の子どもを対象に音楽療法を行いました。主に、ダンスやリズムを用いたゲーム、グループで歌うといった内容です。研究者は、音楽療法が自閉症児の社交的スキルや言語スキル向上に役立つかどうかを調査しました。

研究結果

調査の結果、自閉症のある子どものコミュニケーション能力が向上したことを示しました。また、音楽トレーニングは、他人が話すことや書いたことを理解する言語能力だけでなく、自分の考えや気持ちを伝える言語能力にも効果があることが示されています。

盲目の自閉症ピアニストであるデレク・パラヴィチーニが、長時間の音楽トレーニングによって言語と身体の動きが改善した事例も述べられています。

ピアノ教室によっては、「リトミック」というカリキュラムを採用しているところもあります。リトミックは、身体を動かしたり歌ったりすることで、ゲーム感覚で楽しみながら音楽を身に付けていく手法です。リトミックやピアノレッスンを通じて、社交スキルや言語スキルの習得の向上に役立てることができるでしょう。

Gu, X. (2020). The benefits of music for children with autism. Journal of Learning and Education, 9(3), 109-112. doi: 10.18282/l-e.v9i3.1591

The Benefits of Music for Children with Autism | Learning & Education

その他、自閉症スペクトラム症のあるお子様へ向けた学習塾についてはこちら⬇️

さいごに

子ども達にはそれぞれ個性があり、興味や関心も異なります。そのため、子供のペースに合わせ、無理のないようにレッスンを進めることが大切です。

ピアノレッスンを通じて、子供が音楽の楽しさを知り、自己表現の場を見つけることができれば、それは子供にとってかけがえのない経験となるでしょう。