はじめに

LDのある子どもは、言語の理解や運動機能、注意力など様々な分野で困難を抱えることがあります。しかし適切な指導や支援を受ければ、その能力を伸ばすことができます。一人ひとりの強みに着目し、その上で克服すべき課題に取り組むことが大切とされています。
実は、アプローチの一つとして音楽を活用する取り組みが注目されつつあります。その中でもピアノ教育には、LDのある子供の可能性を引き出す大きな力があるかもしれません。
本記事では、LDのある子供にピアノ教室をおすすめする5つの理由を、研究結果を交えてご紹介していきます。
ピアノレッスンをおすすめする理由

1,聴覚と視覚の総合的な力がつく
LD(学習障害)のある子どもは、言葉の認識に困難を抱えがちです。音読の際にもつまずきが多く見られます。
このような言語の遅れを補う手段として、ピアノ教育が注目されています。ピアノを弾く際に、音と記号を結びつけるトレーニングができるためです。「ド」の音を出して、それに対応する音符を見る。
楽譜を読むのが苦手なお子様には、イラストや色を使って学習する方法もあります。このように聴覚と視覚の両方を使うことで、段階を踏んで認識力を身につけることができます。
2,自己表現力と自尊心が高まる
LDのある子どもは、読み書きや計算がうまくできず「勉強ができない子」と見られてしまうケースがあります。そのため、うまくいかないことが重なり自信を失いがちになります。ところが、ピアノの学習は基礎から着実に進められます。
最初は簡単なフレーズから始まり、次第にレパートリーが広がっていきます。弾ける曲が増えるにつれ、達成感も大きくなります。この達成体験が、子どもたちの自尊心を養う原動力になるのです。
さらに、お気に入りの曲を演奏することで、音楽を通して自己表現できる喜びもあります。自信とともに豊かな表現力が育まれていくことでしょう。
音楽学習とLDのある子供への研究

研究内容
近年、音楽の力で読字能力が向上する可能性があるという興味深い研究結果が出ています。
イタリアの複数の医療・教育機関が連携して実施した興味深い研究があります。
発達性読字障害の子どもたちを対象に、音楽トレーニングが時間処理能力やリズム感覚、読字スキルや音韻意識にどのような影響を与えるかを検証したものです。
具体的には、8〜11歳の発達性読字障害のある児童を無作為に音楽グループと比較グループに分けました。音楽グループには音楽トレーニングを受けてもらい、比較グループは絵を描いたり色を塗ったりなど、別の活動をしてもらいました。
研究結果
研究の結果、音楽トレーニングを受けた子供たちは、リズム能力や音韻意識(言葉の音の区切りを意識する力)、読字スキルにおいて、比較グループより優れた成績を収めたのです。
音楽に親しむことで、リズム感や時間処理能力が鍛えられ、それが音の意識や文字の認識力の向上につながった可能性が示されたわけです。
音楽は楽しく心を癒してくれる一方で、このように認知能力の発達にもプラスの影響を与える可能性を秘めているのかもしれません。読み書きが苦手な子供たちへの新しい支援の手段として、音楽の活用が期待されそうですね。
さいごに

ピアノを習うことは、様々な可能性を秘めた有効な取り組みだと言えるでしょう。
ピアノを通して言語の認識力が向上する効果が期待できるうえ、着実な上達過程の中で達成感を味わうことで自己肯定感が高まっていきます。自己表現力の育成にもつながるでしょう。
このようにピアノ教育は、LDのある子どもたちの様々な側面を多角的に伸ばす期待ができる習い事なのです。ただし、一人ひとりの特性やペースに合わせた指導が欠かせません。
保護者の皆さんには、子どもの可能性を信じて、寄り添いながら音楽を通して成長を見守っていただきたいと思います。じっくりと子どもと一緒に歩んでいくことが大切です。ピアノ教室への通い始めは、そんな新たなスタートを切る良い機会になるでしょう。
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